製薬企業と医療機関・関係者との情報の架け橋であり、自らも営業担当者として自社の医薬品を売り込むお仕事、それがMR(医療情報担当者)のお仕事です。
私たちが安心して医師や薬剤師の処方する医薬品を口にできるのも、MRの皆さんが医薬品の正しい情報を医師や薬剤師に伝えているからです。
とてもやり甲斐のある仕事と言えますが、じつはMRの世界では転職は珍しい話ではありません。なぜ、MRの皆さんは転職という大きな決断を選ぶ傾向にあるのでしょうか?その理由を探ってみます。
外資系は転職が珍しくない
転職と言っても、内資(国内資本)の製薬企業で中途採用はほとんどありません。しかし外資系は違います。そもそも、「大学を卒業して新入社員として入社する」という文化は、世界的に見てもアジアに多く見られるものであり、欧米企業では一般的ではありません。
「即戦力として十分な実力と実績があるなら、中途採用も歓迎します」というのが外資系企業の基本的なスタンスであり、外資の製薬企業も例外ではありません。
つまり、「そもそも転職しやすい土壌がある」と言えるでしょう。
すでに信頼されているMRが欲しい
MRは医療の仕事です。人間の健康や命を守る仕事と言えます。したがって、MRから医薬品や新薬の説明を受ける、あるいは安心して医薬品を購入するとなれば、「信頼」こそ最も大きなポイントになります。
MRと医師、そして薬剤師などの信頼関係があってこそ、健康や命を守る仕事が出来るというわけです。
そこで、次のような場面を想像してください。すでに医師や薬剤師から大きな信頼を得ているMRがいます。しかしこのMRは、今の会社より好待遇の別の会社に転職しました。
こんな状況です。これまで通りの医薬品を仕入れたいなら、新しいMRが担当者として医療機関にやって来るでしょう。しかし医師や薬剤師からすれば、「また1から信頼を積み上げるより、別の会社に行ったけど前のMRさんが良い」というケースも多いのです。
となると、そのMRを引き抜いた会社からすれば「新しい顧客を開拓できる」となるわけです。そのMRが以前の会社で担当していた顧客を、ゴッソリこちらに持って来られる可能性があるなら、優秀なMRほどどこの製薬企業も欲しいという構図になります。
このように、「(外資系なので)もともと転職が良く行われる土壌があり、信頼を得ている優秀なMRはどこの会社も欲しいから」こそ、MRの転職がよく見られる理由と言えるでしょう。