MRにはさまざまな専門領域があります。オンコロジーもその一つです。長く未経験は不可とされていたオンコロジーMRですが、最近では未経験での転職も受け入れるところが出てきました。責任もやりがいも大きいオンコロジーMRについて、必要なスキルや年収などを解説します。
オンコロジー（癌・腫瘍学）専門MRとは
オンコロジー専門MRは、がん領域の医薬品情報を提供するMRです。がんは、いまや日本人の死因としてかなり大きな割合を占めています。その累計死亡リスクは男性で25%、女性で16%というデータもでています。治療の困難さ、発生個所や進行の多様性に伴い、薬の開発に関しては多大な注目と期待が集まっている分野です。
がんの治療にあたっては、医師が信頼できる専門MRとともに計画を練り、経過をみては議論をし、方針をより適したものへと変えていきます。他の疾患に比べると、MRがより多くの意見と知識を求められる可能性が高い分野です。
がんには、万人向けの特効薬が存在しません。それほど難解な薬品知識を担わなければならないため、オンコロジーMRには、非常に高い専門知識と豊富な経験が必要です。しかし、厳しい仕事に伴うやりがいはかなりのものとなっています。MRとしては、最も人気のある花形の専門職といっていいでしょう。
やりがいの正体は、やはりがんという病気の根治の難しさにあるのではないでしょうか。たくさんの可能性を模索し、最善を尽くしたにもかかわらず、命が失われることは少なくありません。だからこそ、治療方針がピタリとはまり、薬がよく効いてくれたときの喜びはひとしおです。仕事を超えた満足感が、そこには待っていると思います。
オンコロジーMRの年収・仕事内容
オンコロジーMRの年収は、およそ600万円から1200万円程度です。高いスキルを積み上げるほどに収入がアップしていくのは、他分野のMRと同様です。
日常的な仕事内容は、他分野のMRと同じように、ドクターへの情報提供が主なところです。しかし、先に記したように、信頼性の高いMRは治療方針の根本的なところまで意見することを求められます。専門知識の乏しいオンコロジーMRは、医師に無能扱いされてしまうといっても過言ではありません。
とくにオンコロジーの領域では、治療の目的は根治のみにとどまりません。QOLの維持を考えた上での延命処置や、疼痛管理についての知識も求められます。社外の医薬品知識はもちろんのこと、高い学術知識を自ら獲得する意欲を持たなければなりません。
また的確なアドバイスをするためには、患者の属性を知ることが、オンコロジーMRにはとくに重要事項となります。どの抗がん剤でどんな副作用が出たかはもちろんのこと、とくに延命治療を余儀なくされた患者については、どんな生活を望んでいるかをきちんと医師からヒアリングし、適切な提案ができる必要があるでしょう。
とくにがん領域においては、身体だけではなく人間の生き方を見つめなければならない機会が多く訪れます。そのことが、MRの責任にも、やりがいにもつながってくるのです。
オンコロジーMRに求められる経験・スキル（目指し方）
オンコロジーMRの求人については、同領域の経験が求められることがほとんどです。とくに、大学病院など、大規模な病院のがん部門を担当した経歴は高く評価されます。基幹病院でキーオピニオンリーダーを担当した経験があれば、オンコロジーMRとしても優秀であると認識されるといっていいでしょう。
ただし、最近では違う領域のMRにも門戸を開いている企業が多数みられます。複数の分野のMR経験者を集め、教育体制を敷いているのです。
未経験での採用の場合、年収は450万円程度からとなるでしょう。新卒採用と大して変わらないような年収であるため、もしかしたら、現在の報酬よりも下がってしまうかもしれません。
しかし、オンコロジーMRに転身すれば、報酬が下がるリスクを補って余りあるほどのやりがいが、あなたを待っています。オンコロジーMRを経験すると、次の転職を叶えたいと思ったときにも、キャリアアップの可能性はぐっと高まるうえ、経験を認められて年収の増加につながることも夢ではありません。トライする価値は、十分にあるといえます。
