オーファンドラッグの役割
オーファンドラッグとは、患者数が少なく、治療法も確立されていない難病のための稀少疾患用医薬品です。
オーファンドラッグの指定を受けるためには、日本で対象患者数5万人未満の疾患に用いる医薬品であること、医療上、特にその必要性が高い医薬品(代替医薬品や治療方法がない、既存の医薬品と比べ、著しく有効性・安全性が高い)、開発の可能性が高い医薬品(使用する理論的根拠および開発計画の妥当性がある)であることが基準とされています。
患者の数が少なくても、治療のための薬の重要性に変わりはなく、治療が困難な難病に苦しむ患者にとっては、オーファンドラッグの社会的役割は非常に大きなものがあります。
オーファンドラッグの開発支援もスタート
1970~1980年代にかけ、アメリカでオーファンドラッグ法が制定されるのなど、先進諸国を中心にオーファンドラッグの研究開発に対する公的援助制度が制定されるようになりました。
日本でも、1979年に難病に対する新薬研究開発事業が開始され、1985年には承認審査の簡素化、さらに1993年には薬事法が改正され、オーファンドラッグに対する本格的な公的研究開発援助制度がスタートしました。
オーファンドラッグの指定を受けると、研究開発のための助成金が交付され、ほかにも、速やかに患者に提供できるよう、他の薬より優先して承認審査が行われるなど、各種の優遇措置が受けられます。
オーファンドラッグは注目領域でもあります。
オーファンドラッグの中でも、対象患者数が1,000人未満に対する治療薬はウルトラオーファンと呼ばれ、開発費用の助成率を上げるなどの支援が受けられます。
オーファンドラッグは、対象患者数が多い医薬品の開発に比べ、様々な特例措置があることから、医薬品開発の成功率という観点で考えれば、対象患者数が多い病気の治療薬開発よりも開発の成功率が高くなります。
製薬業界でも、稀少疾患は注目されている領域であり、メーカー各社の動向に対する期待は高まっていくものと見られています。